抄録
高温ガス炉(原子炉出口温度850_から_950℃)の高温核熱を利用して固体電解質上(SOFC)でメタンの部分酸化反応(CH4+1/2O2⇒2H2+CO)を行なうことにより極めて高い効率で電力と水素を併産できる電力水素併産システムにおけるSOFC燃料電池セル構造内供給燃料層と空気伝熱流動層間にある両電極付SOFCと耐熱金属構造体間の耐熱絶縁コーティング材料としてガラス材料が有望であるが、従来のガラス製コーティング材料では金属基板からの剥離が250℃以上で生じる。そこで本研究では、耐熱金属基板上に緻密シリカナノ薄膜を多層化コーティングすることにより、900℃加熱からの急冷試験に耐える新しいガラス製コーティング材料の開発に成功したのでこれを報告する。 その結果、SUS316表面にペルヒドポリシラザンとポリオルガノシラザンを混合溶液化し、アンダーコートからトップコート層にかけてコーティング溶液中のメチル基濃度及び焼結温度を変えることにより、膜厚400nm級のSiO2ナノ級薄膜を最大5層重ねた全厚み2_から_3μm程度の多層膜生成に成功した。また、本成膜は900℃加熱後大気中に晒す熱衝撃試験に耐えることが分かった。