抄録
ペロブスカイト型酸化物HgMO3(M=Pb, Sn)を高圧下で合成し、電気伝導性の測定および電子構造計算を行い、電気伝導性とHgとの関係を調べた。その結果、HgPbO3は擬金属的であり、HgSnO3は金属的であると考えられた。APbO3(A=Ba, Sr, Ca)では、Pb(s)とO(p)が伝導経路となっているとされており、PbO6八面体の回転角度が電気伝導性に大きく影響することが知られている。しかし、HgPbO3はCaPbO3とPbO6八面体の回転がほぼ同じであるにもかかわらず、電気抵抗率はHgPbO3のほうが小さい値である。これはAサイトのHgの軌道が電気伝導にかかわっているためである考えられ、このことは電子構造計算の結果と一致する。