抄録
Er3+イオンをドープしたCeO2結晶は、光通信においてUバンド帯といわれる波長1625_から_1675nmの範囲にて強い蛍光を示す。この波長域にてEr3+イオンが強い蛍光をしめしうるホスト材料は、ほとんどない。したがって、CeO2を基にした蛍石構造を有する結晶材料は、Uバンド帯におけるEr3+イオンドープ光増幅器への応用が期待できる数少ない材料であると考えられる。XRD測定により、得られた(Ce1-xYx)0.995Er0.005O2-δ結晶(x=0.0∼0.3)は、Ce4+イオンサイトにY3+イオンが置換固溶した蛍石構造を有していることが確かめられた。さらに、Y3+イオンの置換固容量が増加するにつれ、アップコンバージョン発光の強度が減少し、光通信波長帯域における発光強度と発光スペクトル半値幅が増加した。