抄録
動物を生かしたまま生体材料の体内吸収過程の評価を試みた。リン酸カルシウム系の骨セメントを大腿骨内および皮下に埋入し、高分解能X線CTにより、同一個体を対象として長期間の継続的な形態変化を3次元で画像化し、定性的・定量解析の評価技術を開発した。 (1) ラット体内に埋入した骨セメント量の経時変化を生かしたまま、1年間以上測定できる。(2)大腿骨内に埋入した場合は、骨セメントの表面は徐々に粗面化し、体積が減少し、12ヶ月後の体内吸収は約8%であった。(3) 皮下に埋入した場合は、セメントの表面状態は変わらず、1ヶ月後に体積が約5%増えた後減少した。 以上の結果から骨修復材料の体内吸収過程を初めて明らかにした。