日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2006年年会講演予稿集
セッションID: 3A03
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走査型プローブ顕微鏡による強誘電体薄膜の電界誘起歪の温度依存性の測定
*眞岩 宏司Seung-Hyun Kim一ノ瀬 昇
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抄録
強誘電体薄膜の電界誘起歪はMEMSその他の応用上重要なばかりではなく、その物性の理解にも欠かせない。今回は強誘電体薄膜の電界誘起歪の温度変化を走査型プローブ顕微鏡で測定した結果を報告する。 測定に使った薄膜試料は化学溶液法で作製した(111)Pt/Ti/SiO2/Si 基板上の1μm厚のPb(Zr,Ti)O3 (PZT)と0.5μm厚の(111)Pt/TiOx/SiO2/Si基板上のBa(Zr0.2Ti0.8)O3 (BZT) である。上部電極上で大きな振幅の電界を印加しての測定と強誘電体薄膜に直接プローブ顕微鏡のチップをつけて走査しながらロックインアンプを用いた測定の二つを行った。いずれの測定は真空雰囲気で行い、ヒーターによる加熱と液体窒素シュラウドからの伝熱による冷却により温度を変化させた。 BZT薄膜の測定結果を示す。この薄膜のキュリー温度は比誘電率の温度依存性の測定から40℃位にあり、ブロードな温度変化を示す。温度上昇によりバタフライ形状に近い強誘電体の形状から線形に近い常誘電体の形状に変化している様子が分かる。100℃では電界誘起歪の値が減少している。圧電応答シグナルの走査領域での平均値は20℃が最大になっている。これは100℃では強誘電性の消失による圧電性の低下、-100℃では抗電圧以下で生じる印加電界と逆向きの分域の薄膜の縮みの影響があると思われる。
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©  日本セラミックス協会 2006
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