抄録
本研究は弾塑性薄膜/基板2層複合体の圧子力学において膜のみの力学物性を得るための定量解析手法の確立を目的としている。薄膜の圧子圧入試験において膜厚との比較で圧入量が増大すると基板の影響が顕著に現れる。このため、圧子力学により膜のみの力学物性を評価することは重要な課題である。ゾル-ゲル法を用いて、有機/無機ハイブリッドであるメチルシルセスキオキサンをソーダ石灰ガラス基板上にコーティングし、膜厚を異にする種々の弾塑性薄膜/基板2層複合体を調製した。Berkovich3面ピラミッド圧子を用いたナノインデンテーション試験を行った。膜厚と圧入深さの比を変えることにより薄膜の弾塑性変形挙動に与える基板の効果を体系的に精査した。