抄録
太陽電池用透明電極薄膜は300℃以下の低温形成が望まれているが,ゾルゲル法などの溶液法での薄膜形成は500℃以上が必要であった。そこで,我々は,300℃以下で結晶質ITO薄膜を得るための新規前駆体溶液の調製を試み,200℃で結晶化する前駆体の開発に成功した。本研究では,新規ITO前駆体溶液の調製条件,結晶化過程および電気伝導度を検討した。新規前駆体溶液の調製条件は,塩化インジウム及び塩化スズのエタノール溶液にオゾンガスを通気した後,pH6.5となるまでアンモニアを添加し,得られた沈殿物を80℃で保持することであった。前駆体と用いて形成したITO薄膜は200℃で結晶化することが分かった。電気伝導度は加熱処理温度の増加に伴い増加した。