抄録
セラミックスの製造において異常粒成長は、焼結の際の緻密化や焼結体の構造特性に悪影響を及ぼす。そのため、異常粒成長を抑制するのに、不純物を添加する方法や焼結時の温度や保持時間の制御による方法などがある。今回の実験では、初期粒径が異なる2つのMgO粉末A(初期粒径:0.05μm)とB(初期粒径:0.2μm)を種々の割合で混合し、その混合MgO粉末の成形体の常圧焼結時とHIP時の粒径の違いを光学顕微鏡により観察し、粒径分布を比較した。その結果、常圧焼結した状態では、B粉末の混合割合が増加するにつれて試料の平均粒径が増加した。一方、常圧焼結した試料にHIP処理(195MPa)を施すと、B粉末が全く含まれていない試料が最も粒成長していた。このことから、初期粒径が異なる2つの粉末の混合試料にHIP処理を行うことによって粒成長抑制効果があるのではないかと考えられる。