抄録
優れた化学的耐久性が求められる歯科充填材への応用を目的として、フッ素を添加したリン酸カルシウム系結晶化ガラスを作製した。40CaO・5Na2O・25TiO2・30P2O5結晶化ガラス中には、Nasicon型結晶RTi2(PO4)3(R=Na, 1/2Ca)とβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)が析出する。フッ素導入により、β-TCPの生成を抑制しアパタイトを生成させることに成功した。このガラスは優れた耐酸性を示した。さらに、アパタイト含有リン酸カルシウム結晶化ガラス粉末へCO2レーザーを短時間照射することにより、粉末表層のみを融着させることに成功し、充填時の固定法として期待された。