抄録
我々は、様々な薄膜中の点欠陥構造を知る目的で、薄膜中のイオン拡散評価を行っており、既に酸化亜鉛薄膜中の酸素イオン拡散挙動について報告している。以前の報告では、酸素ガスの表面交換反応、蒸発の影響を排除する目的で、ジルコニア基板からの酸素同位体拡散挙動から、拡散係数を求めている。しかしながら、本方法では、より低温における拡散挙動、あるいは基板の影響を評価するには適当でない。そこで、薄膜内部に同位体ヘテロ構造を形成し、その濃度プロファイルの温度変化から、拡散係数を得ることを試みている。ここでは、同位体ヘテロ構造の作製法について述べると供に、これを用いた拡散係数評価法の有効性について検討する。