抄録
応力発光体SrAl2O4:Eu2+(SAOE)は微弱な弾性変形に対して目視可能な発光を示すことから基礎研究・応用開発の両方面から多くの関心を集めている。我々は発光輝度の向上と新規応力発光体の開発指針を得ることを目的として、その発光メカニズムの解明に取り組んでいる。これまでの研究から、SAOEの応力発光が結晶構造と密接な関係があるという知見が得られている。特に、SAOEの母体結晶は室温において構造相転移(TC=920 K)に起因した大きな自発歪み(e5=0.060)を有しており、強弾性体の可能性が示唆されている。本研究では、密度汎関数法による第一原理計算を用いて母体結晶であるSrAl2O4の自発歪みに対する結晶構造安定性の評価を行い、外部応力による自発歪み反転の可能性を検討した。