抄録
セラミックスラリーには、含まれるセラミック粒子の分散安定性を付与するために有機高分子が添加される。しかし、有機高分子の添加は経験による部分が多く、有機高分子の化学組成と分散安定性は科学的に未解明な部分が多い。そこで本研究は、異なる分子量のポリアクリル酸アンモニウム(PAA)水溶液を調製し、その水溶液中でAFMによるフォースカーブを測定することで、有機高分子の分子量と反発力の関係性を調査した。PAAの分子量を5,000、25,000、250,000と増加させると、反発力の働く範囲が約6 nm, 14 nm, 80 nmと増加し、PAA分子の大きさに由来する反発力の変化を観察することができた。この反発力は高分子の立体障害に由来するものと考えられる。