抄録
我々は,ペロブスカイト酸化物SrFeO3に対して水素化カルシウムを用いて低温還元反応を行うことによって,無限層構造SrFeO2を得ることに成功した.同様の還元反応を層状ペロブスカイト酸化物Sr3Fe2O7に対して適用することによって,二本脚梯子構造Sr3Fe2O7を得ることにも成功した.両物質とも,鉄が平面正方配位という新しい配位形態をもつため,なぜこの構造が安定に存在するのかという化学としての興味がある.また,SrFeO2は二次元磁性体,Sr3Fe2O5は一次元磁性体と見なすことができるため,次元性が与える物性への影響を調べる格好の材料といえる.本講演では,この2物質の構造,磁性について,理論の結果と比較しながら紹介する.