抄録
CVD法で合成した酸化亜鉛基板にEuをイオン注入し、熱処理後の蛍光特性に関する研究を行った。大量のEuの注入により、600度で熱処理した後、Euによる蛍光特性が見られた、一方、900度で熱処理した試料では酸化亜鉛のバンド端発光が強く、可視領域の発光は弱く、Euの発光も見られなくなる。薄膜の表面構造とXRD測定から、600度の熱処理では表面構造には変化が見られるものの、XRDには変化が見られない。900度の熱処理では表面構造が変化し、XRDの回折位置にもシフトが見られる。また、元素のイオンマッピングではZnとEuの強度は相補的な関係が見られ、900度の熱処理により分離した様に見える。これらの事から、熱処理によるEuの発光の消滅と酸化亜鉛の発光の増大は、薄膜内の拡散により酸化亜鉛からEuが分離した結果であると考えられる。