公共選択の研究
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省庁再編で何が変わるか: 公共選択論の視点から
加藤 寛
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2001 年 2001 巻 37 号 p. 5-13

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抄録
省庁再編は, 単に省庁の数減らしのためにおこなわれたのではない.そのことを通じて日本の大転換をめざしたはずである.それは明治以来おこなわれてきた中央集権の行政をやめ, 民主導のシステムを創ることにあった.官僚主導から政治主導に変えることではないのである.今日までの日本をみていると常に官僚と政治とがスクラムを組んで日本を壟断していることが見えてくる.
官僚主導から政治主導というといかにも変革がなされたようにみえるが, 実は両者の結託はいよいよ民主導から遠くはずれていくのではないか.
もしいま日本が大変革をしようとするなら基本は, 官僚主導を政治主導に変えることではない.民主導のシステムを創ることだ.その基本は3つある.
第1は, 政府の仕事は極力縮小して, 民間に委ねることである.第2は, 市場競争を基本とすることである.第3に, 地方分権を基本とすることである.
この3原則を実現するために省庁再編がおこなわれたのであり, 省庁統合・強化のためではないのである.省庁再編の行方はこの3原則の実現にかかっている.
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© 「公共選択の研究」編集委員会
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