2022 年 100 巻 1 号 p. 27-35
【目的】小腸カプセル内視鏡における小腸疾患(潰瘍,angioectasia,腫瘍)に対する人工知能(AI)の画像診断の感度と偽陽性のメタ解析を行うこと.
【方法】Pubmedを用いて2014-22年間の文献検索を行った.累積感度,累積偽陽性率をランダム効果モデルにて算出した.累積感度,累積偽陽性に対する診断病変,診断ラベル,AIモデル,学習に用いたデータ量別の関連を検討した.
【結果】12研究33406863枚のデータを解析した.小腸病変における累計感度は0.967,累計偽陽性は0.009であった.病変別の累積感度,累積偽陽性は同等であった.AIモデル別の解析において,Segmentationモデル,Multiラベルの累積感度が高値であった.学習に用いたデータ量がLow volume(<10000枚)とLarge volume(>20000枚)の累積感度は同等であった.一方,累積偽陽性は,Large volume(0.002)がLow volume群(0.010),Moderate volume群(0.029)より低値であった.
【結論】小腸カプセル内視鏡画像診断におけるAIの累積感度は高く,累積偽陽性は低いことを明らかにした.AIの累積感度は病変間で同等であったが,Segmentationモデルの感度が最も高く,50000枚の画像データを学習に用いたAIモデルは累積偽陽性が低かった.