2006 年 69 巻 2 号 p. 41-43
症例は50歳代の男性で,主訴は嚥下時違和感。食道造影にて下部食道に5cm大の亜有茎性病変を認めた。内視鏡では,腫瘤の主体は表面平滑で灰白色調の多結節状隆起で,口側にドーム状で発赤調のびらんを伴い,びらん面の生検で悪性黒色腫と診断した。約3週後の内視鏡ではびらん面は修復され,表面は灰白色を呈していた。治療は外科手術を行った。切除標本は肉眼型0-Ⅰp,深達度SMで,接合部活性を認めた。自験例は大きさの割に症状に乏しく検診で発見され,また腫瘍の表面性状の変化を内視鏡で観察できた点で注目された。