Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
食道・胃病変と胃内胆汁酸濃度との関係に関する研究
熊谷 義也
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2008 年 72 巻 2 号 p. 26-29

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抄録
 胆汁酸は食道炎の原因の1つとされている。筆者は,胃液カラーカードによる胆汁の簡便測定法を開発して,逆流性食道炎と胃内胆汁酸との関係を検討してきた。
 当クリニックを受診し,内視鏡検査を施行した727例を対象として検討し,胃内胆汁色(-)では55.9%,胃内胆汁色高度群では63.8%のgrade Mの食道炎が認められ,後者に食道炎が有意(P<0.05)に高かった。また,逆流性食道炎(-)で胃内胆汁色(-)群(A群)23例と逆流性食道炎(+)で胃内胆汁色(+)群(B群)15例を対比し,胆汁酸はA群B群の全例で検査されたがA群の11.5±4.3μg/mlよりB群は217.0±249.0μg/mlと有意に高かった。トリプシン活性やpHには差が認められなかった。また,コール酸(CA)およびケノデオキシコール酸(CDCA)等の一次胆汁酸はA群55.3%に対しB群78.5%とB群に多かった。逆流性食道炎の発生に胆汁酸が関与していると考えられた。
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© 2008 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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