Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
大腸内視鏡における低血糖予防としての血糖管理についての検討
阿部 剛和泉 元喜山田 英司澤辺 文谷田 恵美子白浜 圭吾金崎 章
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キーワード: 大腸内視鏡, 低血糖
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2009 年 75 巻 2 号 p. 48-51

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抄録
[背景]大腸内視鏡では検査前,検査中の気分不快を訴える患者の中に低血糖が誘因となる場合もある。そこで,当院では主に低血糖予防として大腸内視鏡施行前に血糖値を測定した。[目的]大腸内視鏡施行前の血糖異常の頻度と患者背景を明らかにする。[対象と方法]2008年1月より10月の間,外来にて大腸内視鏡を施行した825例{男性:女性467:358,平均年齢65.4(17~88)歳,糖尿病指摘 有:無 108:717}を対象とし,検査時の血糖値ならびに症状,体格(BMI)との関連を評価した。検査直前に症状の有無と血糖値を確認した後,内視鏡を開始した。検査中は5%グルコース液500mlを持続静注した。低血糖症例は検査終了後,再度血糖値,症状を確認した。[結果] 検査前有症状者は35例(4.2%),うち血糖異常者は7例(0.8%)だった。全体では63例(7.6%)に血糖値異常があり低値58例(7%),高値は5例(0.6%)で最低は31mg/dlだった。血糖低値群は正常群に比べ有意に年齢,BMIが低かった。低血糖症例は検査後には血糖上昇を認め,検査前の症状は消失した。
[結論]大腸内視鏡のため絶食,前処置により血糖異常を来たすことがある。特に若い痩身者は低血糖に注意する必要があると思われ,低血糖を留意した前処置の工夫,糖分管理が必要と思われた。
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© 2009 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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