抄録
胆汁瘻は胆汁が正常胆管外に漏出する病態で,肝胆道系手術において注意すべき合併症である.近年,内視鏡治療の有用性が報告されているが,標準的治療は確立されていない.2009年〜2015年まで当院で内視鏡治療を行った術後胆汁瘻7例を後ろ向きに検討した.平均年齢67.4歳(54〜78歳),男性 : 女性=6 : 1,原疾患は胆石胆囊炎4例,転移性肝腫瘍3例であった.全例で内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage : ENBD)が行われた.胆汁瘻の閉鎖は6/7例(86%)でみられ,ENBD留置期間は平均12日(6-19日)であった.短期合併症(膵炎・出血・穿孔)は認めなかった.長期合併症として1例に2カ月後にleak部の胆管狭窄を来し,再度の内視鏡治療(胆管ステント留置)を必要とした.内視鏡治療が不成功であった1例は,前区域枝が正常胆管と交通がない状態でleakしており(離断型胆汁瘻),胆道再建術を施行した.術後胆汁瘻に対する内視鏡治療は安全で有用な治療法である.しかし離断型胆汁瘻では内視鏡治療は困難であり,胆管造影でleakが明らかでない場合,MRCPなどを併用し適切な診断に努めるべきである.長期合併症としてleak部の狭窄に注意する必要がある.