2016 年 89 巻 1 号 p. 45-49
【背景】狭窄型クローン病患者において,バルーン内視鏡の登場により手術を回避する症例が報告されている.しかし拡張術後の再狭窄が問題となっている.そのため内視鏡下拡張術後の手術移行率を少なくなるためには,どのような患者において効果が持続するか知ることが重要な課題である.【目的】内視鏡下拡張術後に良好なアウトカムをもたらす因子(吻合部狭窄,免疫調節薬の使用等)を調べることとした.【方法】Pub-Med,医学中央雑誌を用いて2016年8月までに登録されたデータベースから,クローン病における内視鏡下バルーン拡張術の効果をアウトカムとする症例対照研究を選択した.手術移行率に関するデータを抽出し,統計処理はRにてメタ解析を行った.hazard ratio (HR)が記載していない研究に関してはTierney’s 法にてHRを計算した.【結果】吻合部狭窄と非吻合部狭窄に対する拡張術を比較した3件の試験(240例)において手術移行率は,吻合部狭窄の方が低い傾向にあるも統計学的に差がなく,HR (0.77 ; 95%CI 0.44-1.37)であった.また免疫調節薬投与による手術移行率は2件の試験(56例)において,HR (0.61 ; 95%CI 0.16-2.36)と有意差がなかった.喫煙に関しては,HR (2.5 ; 95%CI 1.14-5.50)と有意に手術率が高くなった.今回の検討の限界としては十分な症例数での質の高い研究が少ないところである.【結論】狭窄型クローン病では吻合部狭窄と非吻合部狭窄でのバルーン拡張術後の手術移行率は統計学的に差がなかった.禁煙により手術回避が期待された.