Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
当院の消化器内視鏡検査安全管理体制についての検証
岸野 真衣子大森 鉄平高山 敬子中村 真一徳重 克年
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2018 年 92 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

今後の内視鏡リスクマネージメントを考えるうえで,起きた事例から学ぶことは有用で,現状を把握できる大切な情報源とも考えられることから,当院のインシデントレポートから内視鏡検査安全管理体制を検証することとした.2015年1月から2017年1月までの59件の報告を対象とした.要因別事例数では薬剤関連が最も多く,偶発症,検体管理によるインシデントがそれに続いた.影響度レベル別の件数では,身体的影響が生じた可能性があるレベル2以上の事例が約半数認め,治療を要したレベル3a以上は約3割であった.
検体管理のインシデントは検査室独自のローカルルールが一因であった.これを撤廃し統一された院内ルールの遵守の徹底し再発を防止している.偶発症は濃密な医療が必要となることが多いため,IC内容,機器や検査室環境,若手の指導体制を定期的に見直している.抗血栓療法薬の服薬状況は医師,看護師,検査技師が複数回チェックし取りこぼしのないよう努めている.大腸内視鏡前処置薬は,腎機能,心機能を確認して選択するよう電子カルテオーダー画面を新たに設定した.これに関しても複数回のチェックポイントを設けて正しい選択を心がけている.内視鏡検査に関わるリスクファクターに精通し同じインシデントを絶対に再発させない努力を検査関係者全体で継続することが安全管理体制維持の基本と考える.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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