2018 年 93 巻 1 号 p. 65-68
症例は68歳,男性.上部消化管内視鏡で胃体中部後壁に25mm大,褪色調を呈する陥凹性病変を認め,生検で組織混在型胃癌と診断された.ひだ集中を伴っており,潰瘍瘢痕の合併ありと診断した.NBI拡大観察で病変の大部分は中分化型腺癌から構成されている分化型優位組織混在型早期胃癌と診断した.通常観察,超音波内視鏡で深達度は粘膜内と判断した.胃癌治療ガイドライン第4版より内視鏡的切除の根治性評価の改訂があり,3cm以下,UL(+),pT1aの組織混在型早期胃癌は分化型優位であれば適応拡大治癒切除として扱われることになったためESDを施行し,適応拡大治癒切除であった.NBI拡大観察による組織型診断が治療方針決定に有用であった貴重な症例と考えられた.