抄録
D・デーヴィドソンはその一連の意味論研究の過程で「行為文の論理形式」という論文を発表し、そこにおいて注目すべき見解を提出している。その見解とは、行為についての文は個物 (particular) としての事件 (event) の存在に言及するものと解釈されるべきであるというものである。これは、単に言語学的な見地からのみならず、哲学問題としての行為論に対する意義という見地からも、きわめて重要なものであると思われる。本稿では、彼の見解の批判的な検討を通じてこの点を明らかにし、そのことにより行為の問題に多少なりとも光を投げかけたい。