順天堂医学
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原著
ラット, ハムスターにおける2-acetylaminofluoreneの毒性および発癌性に対するindoleの効果
松本 道男
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1977 年 23 巻 1 号 p. 58-80

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抄録

2-acetylaminofluorene (AAF) のもつ毒性および発癌性に対するindoleの特異な効果が, ハムスターおよびラットに於て明らかにされた. ハムスターに於けるAAFによる膀胱発癌に対するindoleの効果がpair-feedingの方法で, 8カ月, 10カ月および12カ月間観察された. AAFとindoleの同時投与による膀胱癌の発生率は, AAFの単独投与時より高く, 統計学的に有意の差があり (p<0.05), またindoleは8カ月間投与群の膀胱発癌率を高めた (p<0.05). 如何なる食飼の条件でも雄は雌より膀胱発癌率が高かった. indoleは尿中に排泄されるN-hydroxy-AAFの量を変えることはなかった. AAFの肝毒性はラットやハムスターに於て知られているところであるが, これに対するindoleの抑制効果がラットに於て明らかにされた. 前処置としてAAF+indoleまたはAAFが, 2週または4週間経口投与され, [9-14C] AAF 1回投与後の胆汁または尿への排泄量が比較された. indoleは明らかに, AAF代謝産物の胆汁あるいは尿への排泄を抑制した. 腹腔内へのN-hydroxy-AAF連日投与は強い肝毒性をもたらすが, その毒性は硫酸塩同時投与により増強される. しかしながらindoleは硫酸塩の存在する場合にもN-hydroxy-AAFの毒性に対し抑制的に働いた.

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© 1977 順天堂医学会
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