順天堂医学
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原著
先天性胆道閉鎖症における脾腫の病理学的研究 (第1編)
新井 健男
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1980 年 26 巻 2 号 p. 183-197

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抄録
従来, 顧みられなかった先天性胆道閉鎖症にみられる著明な脾腫に着目し, 病理組織学的検索を施行した. 乳幼児・小児期の臓器検索を試みる場合, 小児臓器としての特殊性, 即ち臓器発達段階にあり, 組織構成比が成人のそれと若干異なる点, 又, 病的状態においては, 外的又は内的刺激が小児臓器に加えられた場合に, 成人とは異なる程度・方向への反応がみられる点などを念頭において, 検索をすすめる必要がある. そこで先天性胆道閉鎖症剖検肝・脾及び門脈糸の病理学的検索を行うとともに, 十代及び成人バンチ症候群脾, 正常対照例として乳幼児. 10代及び成人例脾の脾洞形態をWeibe1理論を応用した諏訪の方法に準じた組織計測法を用いて, これらの門脈圧亢進による変化と年齢による所見の差異を検討した上で, 先天性胆道閉鎖症脾腫大の病理学的検討を行った. その結果, 著明な肝線維化とこれに原因する肝内門脈枝の閉塞を高度に認め, 脾は日齢にほぼ正比例する脾腫大と組織学的には“いわゆるバンチ脾”にみられる門脈圧亢進によると思われる所見を高率に認めた. 脾洞形態変化は, 組織変化の高度化 (脾洞増生) とともに, 単位体積中の脾洞が細長くなると“いわゆるバンチ脾”変化とその方向性を同一にするものであった.
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© 1980 順天堂医学会
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