順天堂医学
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原著
胆道癌の臨床的ならびに診断学的研究
島口 晴耕
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キーワード: 胆道癌, 胆管癌, 胆嚢癌
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1986 年 32 巻 4 号 p. 456-468

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抄録

胆道癌の診断成績・臨床病理学的事項, および治療成績を検討し以下の成績を得た. (1) 臨床症状では早期癌に局所症状, または全身症状A群を認め, 進行癌切除不能例に全身症状B群が多い. 病悩期間は進行癌に比べ早期癌で短い. また, 胆管癌では早期癌でも血液生化学検査の異常が, 診断の手がかりになることがある. (2) 胆管癌の17%・胆嚢癌の75%に胆道結石の合併を, また胆管癌, および胆嚢癌の7%に膵胆道合流異常の合併がみられた. 癌の大きさからは1cm以下の病変はすべて早期癌であり, 肉眼所見からは平坦型, および乳頭型の病変に早期癌が多く, 今後早期診断の目標とすべきである. (3) USおよびCTの胆道癌直接所見の描出率は, US67%・CT56%と悪い, PTCまたはERCPによる直接胆道造影の充盈法では, 胆管癌の95%・胆嚢癌の77%を診断した. 充盈法により見逃された胆管癌のうち2例は, 胆道二重造影により診断された. 血管造影では胆管癌の79%. 胆嚢癌の94%を診断したが, 早期癌の診断に難点がある. (4) 胆道癌浸潤の診断は血管造影が最も優れており, US・CT, および直接胆道造影法の診断精度は低い. (5) 予後の検討, および文献的考察から, 胆管癌ではm癌とpm癌, 胆嚢癌ではm癌・pm癌, およびss-RAS癌に長期生存例が多く, これらを早期癌と定義するのが妥当である.

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© 1986 順天堂医学会
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