順天堂医学
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特集 脱毛性疾患の病態と治療
培養毛乳頭細胞の5α-reductase活性
高安 進
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1992 年 37 巻 4 号 p. 566-571

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抄録
髭・胸毛・四肢の終毛, 男性型脱毛をきたす前頭部・頭頂部の毛包はアンドロゲンの標的組織である. 一般に標的細胞において高い活性を示す5α-reductase活性を, 拔去毛包 (上皮成分のみ含む) を用いて測定したが, これらの部位でも活性は高くない. また培養した外毛根鞘細胞, 表皮ケラチノサイトでもテストステロンは5α-reductionよりも速やかに17β-oxidationを受け, 更にアンドロステロンに代謝される. これに対して, 培養髭毛乳頭細胞をテストステロンとインキュベートするとダイハイドロテストステロン (DHT) が主要代謝産物であり, 周辺の線維芽細胞・後頭部毛乳頭細胞よりも約3倍高い活性を示した. 髭毛乳頭細胞の5α-re-ductaseの至適pHは, 培養した包皮線維芽細胞と同様5.5にシャープなピークがみられた. 細胞内局在では粗核分画に全活性の半分以上が存在した. 以上の5α-reductaseの特徴から, 髭毛乳頭細胞は典型的なアンドロゲンの標的細胞といえる. 髭においてアンドロゲンの作用のすべてが間質を介して上皮に伝えられるのか, あるいは上皮への直接作用もあるのかについては, レセプターの局在など今後の研究にまたなければならない.
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© 1992 順天堂医学会
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