順天堂医学
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総説
敗血症性臓器不全対策の現状と展望
--特に免疫機能調節と凝固・線溶機能調節について--
射場 敏明八木 義弘木所 昭夫
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1996 年 42 巻 3 号 p. 393-401

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抄録

敗血症性臓器不全は感染それものによる侵襲と, これに対する宿主の過剰炎症反応によってもたらされる. これらの侵襲や炎症反応は最終的に血管内皮機能の失調をもたらし, 組織への酸素供給を阻害して臓器を構成する細胞の機能障害に至る. このような臓器不全への対策としては, サイトカインをはじめとする組織傷害性メディエーターや血管内皮障害のマーカー, さらに凝固・線溶系分子マーカーの測定による臓器障害の発生予測と, これにもとづく治療の早期開始が重要である. 治療としては過剰炎症反応の抑制を目的とした抗サイトカイン治療やメディエーター除去療法, さらに血管内皮を含めた臓器保護療法やアンチトロンビンIII補充などによる凝固機能抑制などが有効であると考えられる.

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© 1996 順天堂医学会
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