順天堂医学
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特集 不整脈研究の進歩:心臓リズムのメカニズムから最新治療まで
不整脈の新しい診断法と非薬物療法
住吉 正孝
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1997 年 42 巻 4 号 p. 450-458

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抄録
近年, 循環器学の進歩に伴い, 不整脈の分野でも新たな検査法や治療法が臨床応用されている. その中から, 検査法として心拍変動とHead-up Tilt試験, 非薬物療法としてカテーテル-アブレーションと植込み型除細動器についてその有用性と問題点を概説する. 心拍変動は呼吸や血圧などによる生理的な洞性不整脈を意味し, この周期を分析することにより自律神経機能を評価することが可能である. 近年, この心拍変動解析が不整脈発生における自律神経の影響を調べたり, 心筋梗塞例における突然死の予測に用いられている. Head-up Tilt試験は自律神経の関与した失神, いわゆる神経調節性失神 (血管迷走神経性失神) を積極的に診断する一種の起立負荷検査で, 本邦でも普及してきている. カテーテル-アブレーションは心内電位記録により同定された部位で, カテーテルを用いて通電による心筋組織の焼灼を行い, 頻脈性不整脈の原因を消滅させる治療法である. 植込み型除動器は薬剤抵抗性の心室頻拍. 心室細動に対して, 体内に植込みこれら致死的不整脈を自動的に感知して除細動などの電気的治療を行う医療機器で, 近年, 欧米では飛躍的にその植込み数が増加しており, 本邦でも1996年から保険適応となった.
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© 1997 順天堂医学会
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