食物過敏性腸症を中心に, その臨床像・病態. 診断・治療について概説した. 食物過敏性腸症は, 食物抗原に対するアレルギー反応 (遅延型反応が重要) により, 小腸粘膜の傷害を認め, 吸収障害を呈するものを指す. 乳幼児期に慢性の下痢を呈するものが多く, 重症例では, 高度の栄養障害を伴い, 体重減少を示す. 下痢を伴わず, 体重増加不良が唯一の症状の場合もある. 食物抗原の同定は, 除去・負荷試験による症状の消失・出現の確認が基本となるが, 抗原特異的IgE・IgG4抗体の検出, リンパ球幼若化試験などの結果をも参考にする. 小腸粘膜の状態の把握には小腸生検が重要であり, 消化管透過性試験・Dxylose吸収試験や, 便中脂肪定量・便クリニテストなどにより消化管機能の障害の程度を評価する. 治療は単なる止痢剤投与によるのではなく, 原因食品の除去に加え, 安全な食品を消化機能に合わせ徐々に与え, 栄養状態を改善することにある. 具体的には, 乳児では牛乳蛋白加水分解乳が有効なことが多いが, 重症例では成分栄養剤 (エレメンタールダイエット) が用いられる.