糖尿病の発症原因はインスリンの初期分泌低下と肝臓・骨格筋におけるインスリン抵抗性の二つである. インスリン初期分泌低下はある程度遺伝的に規定された要因と考えられているが, インスリン抵抗性は, 肥満・運動不足・アルコール過剰・ストレスなどの誤った生活習慣に起因する後天的要因が主である. 従って, 糖尿病を治療するには先ず食事療法と運動療法によりインスリン抵抗性改善を図る必要がある. ところで, インスリン抵抗性は高血糖とは別個の動脈硬化症の危険因子でもある. それゆえ, 食事療法と運動療法による生活習慣改善は糖尿病治療のみならず, 動脈硬化症の発症予防にも非常に有効であり, この点を患者に分かりやすく説明し, 理解させることが治療を長期間継続させる上で, 重要かつ効果的である.