抄録
人類が花粉症によると思われる症状に苦しんでいたことが諸外国の古い記録からも伺われ花粉症と思われる記載が残っており, 日本では, 1961年, 荒木らによるブタクサ花粉症の報告を皮切りに, 疫学, 免疫アレルギーの立場から花粉症の解明が始まった.
本人や, 家族にアレルギー体質の人がいる場合, 花粉症になりやすい可能性があると思われ, 代表的な花粉症の原因としては, スギ・カモガヤ・カナムグラ・ブタクサ・ヨモギがあげられる. また, 全国各地の花粉症の特徴については, 温度要因に大きな幅があること, 花粉アレルゲンの地域的な分布, 大都市と小都市との相違などが考えられる. 一方, 花粉症患者さんの増加理由については, スギ花粉そのものの増加, 大気汚染や, 生活環境の変化, ストレスの増加, 慢性副鼻腔炎の減少が考えられ, 今日の花粉症に至っている.