順天堂医学
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第11回都民公開講座《健康とスポーツ》
スポーツにおける突然死
河合 祥雄
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2003 年 49 巻 3 号 p. 327-335

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抄録
急死とは発症から24時間以内の予期しない死亡のことをいう. スポーツでの相対危険率は40-59歳群では剣道が最も高く, スキー・登山・野球と続き, ゴルフ・水泳はランニングより低い. 60歳以上ではゴルフ・登山の順に高く, 他の種目は40-59歳のランニングとほぼ同じ危険率である. 30歳未満の若年者における運動中の急死の原因となる疾患の多くは肥大型心筋症である. この疾患は最も多い遺伝性心疾患であり, 検診時の心電図検査が重要である. また成人における急死の主因は虚血性心臓病であり, 若年者では冠状動脈奇形・川崎病とその後遺病変が心筋虚血を生じさせる. 心臓性急死は全年齢層に渡る一大医療問題で, 急死患者の半数は, 現在でも病院到着前に死亡している. しかし急死には意外に長い前駆症状がある. つまり漫然と救急車の到着を待つのではなく, この間の時間をフルに活用して蘇生処置をとることが重要である. ハイマン選手の不幸な事件を教訓として, すべての運動選手・スポーツ関係者は「救急蘇生はスポーツマンの責務である」ことを体現しなければならない.
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© 2003 順天堂医学会
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