順天堂医学
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原著
交互反転型矩形波刺戟による骨格筋の収縮曲線及び疲勞に關する研究
鈴木 茂
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1959 年 5 巻 3 号 p. 211-217

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抄録
矩形波の極性が交互に逆転するような交互反転型矩形波刺戟装置を考案し, これを用いて蛙の縫工筋に種々の条件下で電場刺戟を加え, その収縮曲線及び疲労について次の結論を得た. 1) Ringer液中では20-25c/secの頻度で刺戟する場合, 一方向きの矩形波と交互反転型の矩形波との刺戟効果の差が最大であり, 交互反転型を用いなければ膜の疲労を除外した真の強縮曲線は求められない.頻度がこれより多いか或いは少い場含は両者の差は明らかでなかつた. 2) 交互反転型刺戟を用いてもなおかつ収縮力を完全に消耗させることは出来ないことから, 膜現象と収縮現象との間に最も疲労し易い結合過程が存在しなければならないことが結論された. 3) 5-9mMのKClを含むRinger液中では静止電位の低下と共に刺戟閾値は下るが, 収縮力には認むべき変化がなかつた. 4) 活動電位を抑制するような条件下においても, 筋は電流刺戟に応じて収縮する.又この場合も交互反転型は一方向き矩形波に比べて遙かに大きい収縮を起させることが観察された. 稿を終るに臨み, 絡始御懇切なる御指導, 御鞭撻並びに御校閲をたまわりました真島英信教授に謹んで謝意を表りすと共に, 本研究実施にあたり御協力下さつた松村幹郎助手に深く謝意を表します.
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© 1959 順天堂医学会
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