順天堂医学
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特集 最近の医療のトピックス
小児医療訴訟の現状と対策
小林 弘幸
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2005 年 51 巻 4 号 p. 490-500

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抄録
現在, われわれ医療従事者がどのような対策をもとに医療事故をなくすかが重要課題となっている. 小児を扱う医師の義務として, まず, 両親に小児疾患の特殊性と小児の体の特殊性を十分に理解してもらわなければならない. 小児で扱う疾患は様々であるが, 「小児は成人のミニチュアでない」ということ, 何が起こるか解らないということを医師も患者の家族も認識しなければならない. そのためにインフォームドコンセントを充実させることが大切である. 時間を十分にかけて簡単な言葉で説明し, 自由な質問をできる環境を確保しながら, 複数回の説明ができる体制を整えておかなければならない. また, 小児が専門でなければ, 速やかに専門医を紹介することや, セカンドオピニオンを積極的に勧めることも, 医療事故を防ぐ方法と考える. 現在, どのレベルの医師にも最低限の救命救急蘇生の技術と知識が要求されている. また, 入院中の患者に対しては, 療養・保健のシステムのほか, 生活指導 (食事・起居・排便・安静・運動など) についても, 具体的に指示すべき義務があることを認識しなければならない. 医療事故撲滅の鍵は, インシデントレポートをいかに医療従事者から提出させるかにかかっているが, 重要なことは, インシデントの様々な原因を分析し, その事故防止対策をたて, 対策の中での個人の役割を明確にし, 実行させることである.
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© 2005 順天堂医学会
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