抄録
孤発型パーキンソン病の発症機序, 家族性パーキンソン病の進歩について解説した. 孤発型パーキンソン病の黒質変性は, 遺伝的素因と環境因子の相互作用で開始され, その結果黒質神経細胞内にミトコンドリア機能障害と酸化的障害が生じ, これらが悪循環を繰り返しながら, 蛋白の異常凝集, 軸索輸送の障害, アポトーシスを惹き起こして神経細胞死を起こす. 家族性パーキンソン病については, 11の病型につき遺伝子座が判明し, 6つの原因遺伝子が同定されている. これらはα-synuclein, parkin, UCH-L1, PINK1, DJ-1, LRR-K2である. α-synucleinは孤発型パーキンソン病の神経細胞にも凝集体が沈着しており, 黒質変性に重要な役割を果たす. Parkinは, ユビキチンリガーゼ活性を持ち, 神経変性とユビキチンプロテアソームシステムの関係の重要性を指摘した. PINK1は, ミトコンドリア蛋白, DJ-1は強力な抗酸化作用を持ち, ミトコンドリアと酸化的障害の重要性を指摘している. LRRK2とPINK1は, 蛋白リン酸化活性を持ち, 蛋白リン酸化の異常も黒質変性に重要であることを示している.