順天堂医学
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話題 就学前の子どもの問題
閉塞型睡眠時無呼吸症児の臨床症状と形態的・機能的問題点
-就学前の子どもを中心に-
篠原 光代
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2010 年 56 巻 1 号 p. 3-6

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抄録
おとなの睡眠時無呼吸 (以下SA) はマスメディアなどを通じて知られているが, 子どものSAについては, あまり知られていないのが現状である. 子どものSAの原因は口蓋扁桃および咽頭扁桃肥大等による気道狭窄と言われており就学前後の子どもに多く認められる. 子どものSAもおとなと同様に閉塞型が一般的であり, 今回子どもの閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (以下OSAS) について簡潔にまとめた. 子どものOSASの臨床症状は体型指数 (BMI) が14.9以下の痩せ型の子どもが約半数であった. 保護者の11%は子どものSAを確認してないこと, 眠気を覚ます意味での過剰行動が63%にみられる一方, 授業中に頃眠を認める子どもが48%いること, 口呼吸が89%に認められ, 食事時間および食塊を飲み込むまでの時間の遅延が認められることなどから家庭, 学校での子どものOSASに対する啓発活動が必要であると考えられた. 子どものOSASの診断には頭部X線規格撮影写真によるセファロメトリー (一般的分析に加え, 特に気道分析) を行い, 可能な限りファイバースコープにて上気道の観察を耳鼻咽喉科医とともに行うことが望ましい. PSG検査は入院下で施行するのが難しい場合, 自宅で簡易型PSGを用いて数日間測定することが望ましい. 子どものOSASの治療は, 対症療法ではなく, できれば根治的療法 (矯正治療による顎の成長誘導, 扁桃の外科的処置等) を行うことが望ましく, なによりもSAを予防することが重要であると考えられた.
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© 2010 順天堂医学会
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