順天堂医学
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原著
In vitroにおける黄色ブドウ球菌small colony variants 出現抑制のためのアルベカシンとスルバクタム/アンピシリンの併用効果
冨永 英司伊藤 輝代Christof von EIFF平松 啓一
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2010 年 56 巻 4 号 p. 339-349

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抄録
目的: Staphylococcus aureus (S. aureus) におけるアルベカシン (ABK) を作用時のsmall colony variants (SCVs) の出現の有無およびスルバクタム/アンピシリン (SBT/ABPC) との併用によるSCVsの出現抑制効果を検討する. 方法: S. aureus 6株 (MSSA 1株, MRSA 1株およびVISA 4株) を用いて, ABK単剤処理およびABKとSBT/ABPC併用処理の間で, SCVsの出現頻度と出現時の薬剤濃度を比較し, SBT/ABPCの併用による殺菌効果およびSCVs出現に対する抑制効果について検討した. またSCVsを多量に含む菌液を用いて, SBT/ABPC併用時の殺菌および出現抑制効果について検討した. 結果: ABK存在下ではSCVs出現がみられたが, SBT/ABPCの併用により, 残存生菌数およびその中のSCVsの割合ともに減少した. SCVsは, ABKの殺菌効果に抵抗性を示すが, SBT/ABPCとの併用により, SCVsに対する殺菌効果が高まることが確認された. 結論: 従来から指摘されていたABKとSBT/ABPCの併用は, ABKによるSCVs出現とそれによる薬剤の有効性の低下を防ぐ有用な方法であることが確認された.
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© 2010 順天堂医学会
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