主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
回次: 32
開催地: 鹿児島県鹿児島市 城山ホテル鹿児島
開催日: 2018/06/05 - 2018/06/08
本研究では,「ロボットは東大に入れるか」 (略称:東ロボ) プロジェクトの一環として開発されたセンター試験「数学I・A」整数問題の自動解答システムにおける探索空間の削減に取り組んだ.センター試験の問題はマーク式であり,論理式に翻訳すると空欄部分のみを自由変数とする論理式になる.そのため,このような問題を解くことは,論理式から限量子を除去し,自由変数のみからなる方程式・不等式を解く処理だと見なせる.整数領域においては限定的な体系の式を除いて限量子の除去は一般には不可能であり,これを行うアルゴリズムは存在しない.そのため,整数問題に対する解答システムにおいては問題の論理表現方法の工夫や逐次的な式変形探索を通じた発見的な方法による限量子の除去を行っている.しかし,式変形探索においては探索空間の増大という課題があり,問題によってはこれを原因として解答が不能となる部分が存在した.この課題を解決するために,論理式を正規化して保持し,マッチングの際にはこの正規化された式に対してマッチングを行うことを前提とし,また交換律や対称律を考慮するようにマッチング規則を拡張し,探索空間を削減することを試みた.