新型コロナウイルス感染拡大で顕在化したとおり、行政サービスの自動化・効率化・高度化は、住民の健康や生命自体を左右する根本的課題である。政府や自治体におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が急務とされ、犯罪予測に基づく行政警察活動から婚活まで、様々な目的・用途で人工知能(AI)の活用が試みられようとしている。他方、技術上はAIを導入できるとしても、それが望ましいかといった規範的側面を含む検討・評価に関する研究は、いまだ十分とは言えない。 本研究では、いくつかのユースケースを元に、恣意性の排除や羈束性の向上といった裁量統制の観点から評価を行った。また、データバイアス、アルゴリズム監査、異議申立て手続きなどの論点を整理している。