主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2021年度人工知能学会全国大会(第35回)
回次: 35
開催地: オンライン
開催日: 2021/06/08 - 2021/06/11
近年、日常診療から得られた医療データの整備、利用が進んできており、患者の転帰予測など、機械学習モデルを活用した研究が行われている。転帰予測を実臨床で活用するためには、時系列データを用いて、未来の患者状態の悪化を事前に検知することが求められる。しかし、実際の治療行為や検査記録は時系列方向に散発的に得られるため、古典的な時系列モデルを適用することは難しい。また各時点では、一部の変数のみデータが得られることがほとんどであるため、各時点での患者の状態をクラスタリングなどで解釈しようすると、データ欠損の影響が大きくなってしまう。そこで本研究では、時系列を連続的に扱いながら、観測された変数の情報を参照できる、Neural ODEsをベースとした深層学習モデルを用いて、患者状態をモニタリングする手法を提案する。集中治療室で収集されたパブリックな医療データセットであるMIMIC-IIIを用いて、集中治療室入室からの臨床検査値を予測するモデルを学習した。予測時の潜在変数をクラスタリングし重症度スコアなどと関連付けることで、データが散発的に得られる状況でも、患者状態の経時的な変化が評価できることを示す。