人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第35回 (2021)
セッションID: 3J1-GS-6a-01
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特殊詐欺の実音声を用いた被疑者の発話情報の調査と分析
*辻 健一郎御手洗 彰棟方 渚
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抄録

特殊詐欺における被害は社会的にも大きな問題となっており,多様な組織・機関が被害の阻止・減少を目指し,様々な対策を講じている.関連研究においては,特定のキーワードとユーザ状態から詐欺電話の判別を行う実証実験などが行われているが,手口の多様化により使用されるキーワードも変化するため全てに対応することは困難である.例えば,息子を装ったオレオレ詐欺が認知されると,還付金詐欺などの振り込め詐欺が広まり,近年ではキャッシュカード詐欺盗の増加がみられ,現在では新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺も確認されている.本研究では,特殊詐欺音声(オレオレ詐欺・還付金詐欺)から被疑者に共通する発話特性の抽出を試みた.被疑者の発話に共通してみられる特徴として,発話内容や声に着目して分析を行なった.形態素解析の結果からは,被害者に切迫感を与えるような時間に関連する単語が多く用いられていることが示された.また,通常会話の発話速度よりもわずかに早いという特徴がみられた.これらの結果を用いて,新たな特殊詐欺における対策として,多様な手口に対応するための,特殊詐欺判別モデルについての検討を行う.

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© 2021 一般社団法人 人工知能学会
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