交通渋滞は環境問題や経済的損失を引き起こす要因として問題視されており，都市部では交通渋滞の改善が求められている．渋滞解消へのアプローチの一つとして，信号機の制御パラメータを適切に制御し，交差点の状況に応じた信号機の挙動を実現させる手法があり、一定の成果を挙げている． 一方で，交通渋滞の解消のために信号機パラメータを制御する手法では，取り扱う交通情報が車両情報のみに留まる事も少なくない．この場合，信号機制御によって車両の遅れ時間を減少させることができる反面，しわ寄せとして歩行者の待ち人数を増加させてしまう問題がある． 本研究では，従来のパラメータ制御による交通信号スプリット制御手法において，車両情報に加え歩行者の情報も考慮して制御する手法を提案した．手法の検討においては，交通シミュレーションソフトSUMOを用いて交差点・車両の流れ・歩行者の流れを再現し，車両情報のみを考慮した制御モデルと，歩行者情報も併せて考慮した制御モデルを比較することで性能評価を行った．その結果，歩行者情報を考慮した手法によって歩行者待ち人数が減少することを確認した．
