量子アニーリングを用いた時間窓制約付き運搬経路問題（VRPTW）の求解による医薬情報担当者の施設訪問計画の最適化

抄録

医薬品産業では，生命や健康に密接に関連する医療用医薬品を取り扱っているため，製品の適正使用に繋がる情報提供が不可欠である．この医療用医薬品の情報提供を担うのが医薬情報担当者（MR; Medical Representative）である．MRによる情報提供活動は，主に医療施設へ直接訪問することで実施される．多くのMRは多数の医療施設を担当しており，効率的な施設訪問計画の策定が重要である．しかしながら，地域によっては施設間の長距離移動，訪問時間の制限等，様々な制約がある．このような複数の制約条件下で，施設訪問計画を策定する必要があるため，最適な訪問計画を立てることには，大規模な演算を要する．そこで本研究では，任意の地域を対象にして，担当MRの人数と各施設間の距離，および各施設における適切な訪問時間を考慮した時間窓制約付き運搬経路問題（VRPTW）としてQUBOで定式化し，量子アニーリングを用いて解くことで迅速かつ効率的にMRの訪問計画を最適化することを試みた．