主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2025年度人工知能学会全国大会(第39回)
回次: 39
開催地: 大阪国際会議場+オンライン
開催日: 2025/05/27 - 2025/05/30
生成AIが文章執筆の補助役や代替存在として,特に個人の執筆活動で活用される機会が増加している.AIと人の役割の境界が曖昧になる中,文章執筆は依然として人固有の創造的行為であり,単純に代替できるものではないと考える.本研究では,文章執筆における個人の創造性に着目し,「過去の自分との対話」が創造性を支える重要な要素であるという視点から再考を試みる.この視点を基に,過去の執筆履歴との対話をデザインコンセプトとしたプロトタイプツール「HALO-TextEditor」を構築し,文章執筆事例を通じて,人とその人自身の執筆履歴のインタラクションが創造的行為にどのように寄与するかを検討した.本ツールは,自己の執筆履歴を時系列で動的に表示することで,執筆者が過去の創造的成果物を位置づけ,解釈し,現在の文脈で活用する新たな可能性を提示するものである.本論では,HALO-TextEditorの利用から得られた知見を基に,生成AIが普及する中での人の役割を再定義し,人と履歴との対話が生む創造性の本質について論じる.