主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2025年度人工知能学会全国大会(第39回)
回次: 39
開催地: 大阪国際会議場+オンライン
開催日: 2025/05/27 - 2025/05/30
因果推論は, 観察データから介入効果を推定するための手法であり, 医療, 経済学, 社会科学などの多くの分野で広く利用されている. 無作為化比較試験が難しい場合、傾向スコアを用いることで共変量の分布を調整し, 介入群と対照群のバイアスを除去できる.しかし, 傾向スコアの一般的な推定手法であるロジスティック回帰は, 傾向スコアのlogitが共変量の線形関数で表現できない場合, 傾向スコアの推定に一致性が無くなる. さらに, 既存の機械学習手法を用いた傾向スコア推定法は, 漸近的に真の確率を推定できず, 結果の解釈が難しくなるという課題がある. 近年,真のモデルに依存せず, 真の分類確率に漸近収束するベイジアンネットワーク分類器学習法が提案されている. そこで本研究では,この手法を用いた新しい傾向スコア推定法を提案する. 提案手法は, 変数間の因果関係を視覚的に表現でき,その推定値は真の傾向スコアに漸近的に一致する. 提案手法の有効性を示すため, マルコフネットワークを用いたシミュレーションと, 実データセットを用いた実験を行い, 従来手法と比較する.これにより, 提案手法が平均介入効果推定の精度向上に寄与することを示す.