常識的知識の特徴の一つとして，例外が存在することが挙げられる．例えば，「鳥は飛べる」という知識に対して，「ペンギンは飛べない」は例外にあたる．既存の常識的知識グラフにおいて，この例のような知識と例外の関係は，グラフ内のパターンとして捉えることができる．一方，「鳥は成層圏では飛べない」のような外的要因に関する例外には対応できない．本論文では外的要因に関する例外を表現する常識的知識グラフを提案する．本論文で提案する知識グラフでは，通常の知識グラフの3項組を拡張し，(Bird,NotCapableOf,Flying,Location:Stratosphere) のように知識を表現する．Location:Stratoshpere は拡張によりグラフに新たに追加された要素である．これにより，外的要因に関わる知識が表現でき，外的要因に関する例外をグラフ内のパターンとして形式化できる．さらに，大規模言語モデルを用いて，拡張した常識的知識グラフを通常の常識的知識グラフから生成する手法を提案する．本生成手法を実際の常識的知識グラフに適用し，提案した常識的知識グラフの実現可能性を検証した．
