近年、大規模な火災が世界各地で頻発し、甚大な被害をもたらしている。火災の被害を最小限に抑えるためには、火炎や煙の早期検出が極めて重要である。 本研究では、火災監視システムの検出精度向上を目的として、YOLOv8を基盤とした火炎および煙の検出手法を提案する。 具体的には、YOLOv8 の backbone にある C2f-n の一部を Swin Transformerに置換することで多尺度特徴抽出を強化し、畳み込み層を可変形畳み込みネットワーク(DCN)で置換することで形状や位置変化への適応性を向上、さらに head に Convolutional Block Attention Module(CBAM)を追加することで空間的およびチャネル的注意を強化し、特徴抽出能力を向上したと考えられる。 評価には WSDY、D-fire、自作データセット(計 5,211 枚)を使用した。実験結果では、mAP50 が YOLOV8の0.744から提案モデルの0.795 に向上し、検出精度の改善が確認された。特に、複雑な背景環境下においても安定した性能を示し、リアルタイム処理への適用可能性が期待される。