プレス成形金型の設計工程において、有限要素法(FEM)はプレス成形後の成形性や寸法精度を満たす金型形状の導出に広く活用されている。しかしながら、計算コストが高いことに加え、近年の成形対象であるプレス品形状の複雑化等にも起因して、解析結果を基に金型設計を修正し再解析を繰り返す工程が長期化しており、設計プロセス全体の効率化を妨げる要因となっている。本研究では、これらの課題を解決するため、FEM結果を対象に高精度にサロゲートモデルを構築するための手法を提案する。特に、プレス金型形状とFEM解析によって得られるプレス品形状の関係性を学習することを目的に、主に形状分類やセマンティックセグメーションタスクに使用される3次元点群データの形状特徴を学習する深層学習モデルであるPointNeXtを応用した。結果、サロゲートを用いた推論は数分で実行できるため計算時間を大幅に削減できるとともに、正解形状との平均誤差0.3mm程度と、実用水準を満たす形状予測精度が得られた。本手法の導入により、設計プロセスの効率化や開発サイクルの短縮を実現し、金型設計業務のリードタイム削減に大きく寄与することが期待される。